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呼吸療法認定士 試験対策 呼吸リハビリテーション各論 呼吸困難

呼吸療法認定士の試験対策

今回は、呼吸リハビリテーション各論呼吸困難の項目についてです。

 

ptrehasho5.hatenablog.com

 

 問題

次のうち呼吸困難感の直接評価法はどれか?

①Visual Analogue Scale (VAS)

②Baseline Dyspnea Index (BDI)

③Fletcher Hugh-Jones (FHJ)分類

④Medical Research Council (MRC)息切れスケール

⑤修正Borgスケール

 

すっと答えられたでしょうか?

ではみていきましょう。

 

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呼吸困難は内的感覚で、定量化が難しいですが、いくつか客観評価するための方法があります。

 

呼吸困難の評価には

医療スタッフが評価する間接的評価法

患者が呼吸困難の程度を評価する直接的評価法

があります。

 

 

間接的評価法

代表的なものとして

・Fletcher Hugh-Jones (FHJ)分類

・Medical Research Council (MRC)息切れスケール

・mMRC(修正MRC)息切れスケール

そのほかにも

・Oxygen Cost Diagram (OCD)

・Baseline Dyspnea Index (BDI)

・Transition Dyspnea Index (TDI)

 

などがあります。

 

試験では、概ねmMRC分類FHJ分類について問われることが多いようです。

 

例題

COPDの患者で、平坦な道を100m、あるいは数分歩くと息切れのために立ち止まらないといけないようになった。この患者のmMRC息切れスケールのグレードは何か?

 

正解は

グレード3です

 

 

・mMRC(修正MRC)分類

米呼吸器学会とヨーロッパの呼吸器学会が2004年に出したもの。

これを、国際的に標準として用いられています。

 

0 激しい運動をした時だけ息切れがある

1 平坦な道を早足で歩く、あるいは緩やかな上り坂を歩くときに息切れがある

2 同年齢の人より平坦な道を歩くのが遅い。

   平坦な道を自分のペースで歩いている時、息切れのために立ち止まることがる

3 平坦な道を100m、あるいは数分歩くと息切れのために立ち止まる

4 息切れがひどく家から出られない。衣服の着替えをする時にも息切れがある

 

 

・FHJ分類

以前はよく使われていたものだが、今はほとんど用いられていない。

Ⅲ-Ⅳで差がありすぎるということもあってほとんど使わなくなったそうです。

 

Ⅰ 同年齢の健常人と同様の労作可能。歩行、階段昇降も健常人なみに可能。

Ⅱ 同年齢の健常人と同様に歩行可能だが、坂、階段は健常人なみに出来ない。

Ⅲ 平地でも健常人なみに歩けないが

  自分のペースでなら1マイル(1.6km)以上歩ける。

Ⅳ 休みながらでなければ、50ヤード(45m)以上歩けない。

Ⅴ 会話、衣服の着脱にも息切れがする。息切れで外出が出来ない。

 

 ※時々ある間違い

Ⅲ 1kmになっている

Ⅳ 50mになっている

 

 

 

直接的評価法

・Borgスケール

・修正Borgスケール

・Visual Analogue Scale (VAS)

が代表的です。

 

 

・修正Borgスケール

運動したときのキツさを数字と簡単な言葉で表現します。

0~10までの数値で表し、0に近い方が楽な感じになります。

 

0  感じない

0.5  非常に弱い

1  とても弱い

2  弱い

3  中くらい

4  やや強い

5  強い

6 

7  とても強い

8 

9  非常に強い

10   最大限に強い

 

 

・Visual Analogue Scale (VAS)

 横に引かれた10㎝の直線の線上に、痛みの程度をチェックします。 

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VAS

 両方とも再現性が高いです。

 

  

 

さて、ここまで読んでいただけたということは

最初に出した問題が解けるようになっていると思います。

 

正解は

 

 

①と⑤です。

 

 

まとめ

・代表的スケールに何があるか覚えておく

・スケールが間接評価法と直接評価法に分けられる

・mMRC分類とFHJ分類のグレードの内容を覚えておく

 

呼吸療法認定士 試験対策 呼吸リハビリテーション総論② エビデンス

前回の総論①に続いて、今回は、「呼吸リハビリテーションにおける効果とエビデンスについてです。

 

呼吸療法認定士、呼吸リハビリテーション総論の分野について、認定講習会で講師の方が話していた内容と、過去の試験問題から、問われそうな所をピックアップしてまとめています。

  

この記事を見れば、「呼吸リハビリテーション総論」の試験対策が出来ます。

  

 

 

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呼吸リハビリテーションエビデンス

A-1

COPDの息切れを軽減する

 

COPDの健康関連QOLを改善する

 

・6〜12週の呼吸リハは、いくつかの有益な効果をもたらし、それらは12〜18カ月かけて徐々に減少。

 ⇒1年何もしないともとに戻る

 

COPD運動療法は、歩行に関わる筋群のトレーニングが必須

 ⇒下肢筋のトレーニン

 

・筋力トレーニングを加えることにより、筋力が増強、筋量が増加する

 

・上肢支持なし持久力トレーニングはCOPDに有用であり、呼吸リハに加えるべき

 ⇒上肢支持なしトレーニングというのは、重りを持ち上げるとか、ADLに即した運動を指します。ハンドエルゴなんかは、上肢上肢ありトレーニングで良くならない。

 

・低強度負荷および高強度負荷によるCOPD運動療法は、両者とも臨床的に有用。

 →重症であれば、低強度でも繰り返せば効果がある

 

 

 

B-1

COPD 以外ののいくつかの慢性呼吸器疾患においても効果的

 ⇒間質性肺炎などにも

 

COPDの高強度負荷による下肢運動トレーニングは、低強度負荷トレーニングよりも生理学的効果は大きい

 

・吸気筋トレーニングを呼吸リハの必須の構成要素としてルーチンに行うことを支持するエビデンスはない

 

・患者教育は、呼吸リハの不可欠な構成要素。総合的なセルフマネジメント、増悪の予防と治療に関する情報提供が必須。

 

 

B-2

・呼吸リハはCOPDの入院日数や医療資源の利用を減少

 

COPDに対する包括的呼吸リハは心理社会的効果をもたらす

 

・選択された重症COPDの運動トレーニングにNPPVを併用すると、ある程度の相加的な効果が得られる

 

 

C-1

・HRQLなどいくつかの呼吸リハの効果は、12〜18ヶ月の時点でも対照群を超えて維持される

 

・高度の運動誘発性低酸素血症をきたす患者には、呼吸リハ中は酸素投与をすべき

 

 

C-2

・費用対効果が高い

 

・より長期的なプログラムは短期的なプログラムよりも効果の持続性が高い

 

・呼吸リハ終了後の維持を目的とした介入は、長期的なアウトカムにある程度の効果を示す

 

COPDの呼吸リハにタンパク同化ホルモン剤のルーチンの併用を支持する科学的エビデンスはない

 

・単独療法として行う心理・社会的介入を支持するエビデンスはわずかである

 

・高強度負荷運動療法中の酸素投与は運動誘発性低酸素血症をきたさない患者の持久力をより改善させる可能性がある

 

 

予後についてのエビデンス

※呼吸リハビリテーションで予後が改善するかどうかについて。

GOLDでは、生存期間の延長としてエビデンスBとして採用されたが、最新のガイドラインでは、エビデンスとして認めるにはデータが不十分であると判断されています。

 

  

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呼吸療法認定士 試験対策 呼吸リハビリテーション 総論①

呼吸リハビリテーション総論の分野について、認定講習会で講師の方が話していた内容と、過去の試験問題から、問われそうな所をピックアップしてまとめています。

 

この記事を見れば、「呼吸リハビリテーション総論」の試験対策が出来ます。

 

ここで抑えておきたいのは

"科学的な根拠に基づいて、他職種で、包括的に行う"という事です。

 

ま、今の医療全部そうですよね。

呼吸リハビリテーションに限ったものではないです。

 

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呼吸リハビリテーションの定義

「呼吸リハビリテーションとは、呼吸器の病気によって生じた障害を持つ患者に対して、可能な限り機能を回復、あるいは維持させ、これにより、患者自身が自立できるように継続的に支援していくための医療である。」

 

リハビリテーションを「医療」であると定義している事は注目すべき点です。

 

そして、継続的に支援というところが重要なキーポイントになります。

 

 

アメリカとヨーロッパの呼吸器学会が2013年に提唱した新しい呼吸リハビリテーションの定義があります。

 

それによると、

「まずは徹底的な患者さんの評価をする。そして包括的な介入をする」

どういうことかと言うと、運動教育患者の行動を変えるということなんですね。

 

そうすることで、身体的、心理的状態を改善して、健康増進行動への長期的な遵守を推進するのだと。

 

統合的ケアと言われますが

継続支援が大切ということです。

 

長期の監視型運動療法

維持期のプログラム

が重要と言われています。

 

 

 

 呼吸リハビリテーションの目的

呼吸器疾患による障害を総合的にケアすることによってQOLの向上を図っていくことが、呼吸リハビリテーションが到達すべきゴールとなります。

 

これまでは、運動耐容能を上げる事が目標とされてきましたが、今は身体活動レベルをいかに維持するのかが重要とされています。

 

 

 

実施のための要件

・チーム医療として行う

・科学的根拠に基づいて実施

・多様なサービスを継続的に提供

・患者とその家族に対し継続して実施

・患者の意欲を尊重しICに基づいて行う

・地域において医療連携を図りながら行う

QOLの向上を重視し、地域での自立を促進

・全身的な機能障害と位置づけ全人的な治療として展開

・医療費に見合った効果を常に意識する(医療費を抑える)

・包括的プログラムで、セルフマネジメント(自己管理能力)を強化

・評価に基づいてゴールを設定し、個々に合わせて継続的に評価実施

 

 

 

治療の進め方

*初期評価

   ↓

*個別プログラムの作成と実践

・目標設定

リハビリテーション処方

リハビリテーション実施計画書の作成

・アクションプランの作成

   ↓

・コンディショニング

運動療法 

 全身持久力トレーニン

 筋力トレーニン

・ADLトレーニン

・セルフマネジメント教育

・アクションプランの実践

   ↓

*行動変容への支援

   ↓

*再評価

   ↓

*プランをたて直す

 

 

 

患者選択の基準

・症状のある慢性呼吸器疾患

・呼吸器疾患による機能的制限がある

・標準的治療により容態が安定している

・患者自身に積極的な意志(やる気)がある

・年齢制限や肺機能、動脈血ガス分析による基準を定めない

・呼吸リハビリテーションの施行を妨げる因子や不安定な合併症がない

 

 

年齢や重症度は関係なく、軽症例から重症例まで全てが適用になるとしています。

 

中でも一番効果が上がると言われているのは、GOLDの重症度の分類で中等症です。

 

すなわち、1秒率が70%未満の人で、1秒量の予測値に対する割合(FEV1)が50%位上80%未満の人ですね。

 

 

 

 

呼吸リハビリテーションの評価項目

【必須の評価】

・握力

・胸部X線

 ・スパイロメトリー

・フィジカルアセスメント

・呼吸困難(安静時.労作時)

・経皮的酸素飽和度(SpO2)

・フィールド歩行試験(6分間歩行試験、シャトルウォーキング試験)

 

【行うことが望ましい評価】

・上肢筋力

・下肢筋力

・ADL(FIM、BI)

・栄養評価(BMI)

・健康関連QOL評価

 (一般的/SF36、疾患特異的/CRQ、CAT、SGRQ)

日常生活動作におけるSpO2モニタリング

 

【可能であれば行う評価】

・呼吸筋力

・動脈血ガス分析

・心臓超音波検査

身体活動量(歩数計など)

・心理社会的評価(鬱、不安など)

・心肺運動負荷試験(エルゴメーター、トレッドミル)

 

 

 

呼吸リハビリテーションの教育・指導

・禁煙指導

・心理面の援助

・感染予防の指導

薬物療法の指導

・疾患に関する指導

社会福祉サービスの利用

・患者の生活に合わせた動作の工夫

・自己管理、アクションプランの実践

在宅酸素療法や在宅人工呼吸療法の指導

 

 

 

呼吸リハビリテーション運動療法

①コンディショニング(呼吸しやすい状態にする。負荷かかっていない)

・排痰

・呼吸体操

・呼吸トレーニン

・リラクセーション

・胸郭可動域の拡張

・ストレッチングによる柔軟性トレーニン

 

 

②自立を促すADLトレーニン(重症の人)

・離床

・座位

・立位

・歩行

・階段昇降

 

運動療法(負荷をかける)

・全身持久力トレーニン

・四肢・体幹筋力トレーニン

・呼吸筋トレーニン

  

+同時に行うべきこととして

薬物療法(気管支拡張薬)

・酸素療法(場合によってはNPPV)

・栄養療法

・心理社会的サポート(鬱、不安)

・教育

  ⇒運動の効率を良くするために行います。

 

 

 

プログラム構成

疾患の重症度によってプログラムが違います。

 

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軽症な症例は最初から強い負荷をかけれますが、重症な症例に関しては最初から強い負荷はかけれません。

重症な方は、まずはコンディショニングとADLトレーニング。これが重要になってきます。

 

重症度によって、どこに重きを置くのかを考えるということになります。

 

ブログプログラムが進んでいくに従って、全身持久力や筋力トレーニング、高負荷な運動療法の割合が増えるということですね。

  

  

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COPDではなぜ痩せている人が多いのか!?

COPD慢性閉塞性肺疾患は、痩せ型の人が多いですが、その原因は何でしょう?

 

それは、消費エネルギー摂取エネルギーが関係しています

  

 

 

 

 痩せる原因

 

COPDでは

『消費エネルギーの増加』

『摂取エネルギーの減少』

という、負のエネルギーバランス

が起こってしまっているのです。

 

摂取エネルギーよりも消費エネルギーが多いと、エネルギーバランスが崩れて痩せてしまいますね。

 

 

 

消費エネルギーの増加

COPDでは、1日に必要な安静時エネルギー量が

健康同年代と比較して1.2〜1.5倍であると言われています。

 

閉塞性換気障害による気流制限や肺の過膨張などが原因で、呼吸がしにくい状態です。

そのため、呼吸筋を多く使い、努力性の呼吸をします。

すると、たくさんのエネルギーが必要になり消費されてしまいます。

 

さらに、肺だけでなく、全身に炎症(全身性炎症)が起こります。

身体の中で熱が発生しエネルギーを消耗します。

所見としては、炎症性サイトカインや、CRPが上昇します。

 

つまり、代謝が亢進状態にあるのです。

 

 

 

摂取エネルギーの減少

COPDでは、必要なエネルギー量を摂取出来るほどの食事が取りにくくなります。

 

その原因として

抑うつや不安感

・炎症による胃腸の機能低下

腹部膨満が横隔膜の動きを制限する

・咀嚼や嚥下による呼吸のリズムの乱れ

・食事動作での上肢運動による呼吸困難感

・肺の膨張で横隔膜が押し下げられ胃を圧迫し、満腹感を感じやすい

 

 などがあります。

 

 

 つまり・・・

『必要とされるエネルギー量は健康な人よりも多いのに、十分なエネルギー(栄養)が取れない』

これがCOPDの人が痩せてしまう理由です。

 

 

 

筋肉の量が減る

体重が減る(痩せる)と

・生命予後が悪い

・入院のリスクが高まる

COPDが増悪しやすくなる

 

 

と言う報告があります。

 

全身性炎症で上昇した、炎症性サイトカインというやつは

異化亢進作用を示し、脂肪や筋肉の減少を引き起こします。

 

また、栄養障害によって脂肪が減少するだけでなく

筋肉量が減少することも考えられます。

 

COPDの人は、呼吸困難感から身体活動が制限されることが多々あります。

さらに、摂取エネルギー量の減少による呼吸筋や全身の筋肉量の減少が加わると、さらに動くことが困難になります。

 

動かない

食欲低下

さらに動かない

 

という悪循環に陥る可能性が高いです。

転倒や寝たきりにも繋がります。

 

そのため、COPDの症状が軽症のうちから、十分な栄養を摂取し、同時に適切な運動をすることで、筋肉の衰えを防ぐことが大切です。

 

 

 

痩せの対処・予防

COPDの症状が軽症のうちから、十分な栄養を摂取し、同時に適切な運動をすることで、筋肉の衰えを防ぐことが大切です。

 

代謝の亢進状態を引き起こしている、呼吸筋のエネルギー消費量の増大や、全身性炎症は、早期改善がなかなか難しい印象です。

※「有酸素運動の長期的効果として、炎症値低下、身体活動量の多い人はそうでない人に比べ炎症値は低かった」という報告もあり、運動療法で全身性炎症を改善できる可能性もあります。

 

したがって、

摂取エネルギー量の低下に対しての

呼吸方法の指導

・栄養管理栄養療法

が重要になってきます。

 

栄養管理呼吸リハビリテーション

COPD進行の初期から取り組むべき管理課題です。

 

栄養障害、骨格筋機能障害、全身性炎症は密接に関連しています。

 

なので、栄養治療をすすめるにあたって

運動療法との併用

・全身性炎症の制御

という観点からもとらえる必要があると言えます。

 

痩せる原因を知ったうえで、

・食事が十分に摂取できているか?

・安静時、食事中の呼吸困難感はどうか?

運動療法における運動負荷量は適切かどうか?

などを常に評価、見直す事が大切です。

 

栄養療法や呼吸方法の指導は、比較的すぐに取り組めます。

即時的に効果が出せるケースもあるので、しっかり評価しないといけません。

 

「ご飯が食べれない原因は何なのか」

それをひもとくような栄養学的介入は

医師、栄養士、看護師、PT、OT、STなどのチームで

あたっていく必要があります。

 

こんな呼吸療法チームを、目指したいですね。

 

 

呼吸療法認定士 再受験するか?しないか!?

 

私は、呼吸療法認定士試験に1度失敗しました

 

不合格だった方、悔しいですよね。

私もめっちゃ悔しかったです。

中には、再受験するかどうか迷われている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

ここでは、不合格になった方、特に再受験を悩まれている方へのアドバイスになればいいなと思い、まとめたので、読んでみてください。

 

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呼吸療法認定士の難易度

呼吸療法認定士の合格率は毎年50から60%程度で推移しています。

 つまり、半数近くの方が不合格になっているのです。

 

各専門職の基礎知識があった上で受けてもこの合格率です。

 

理学療法士の国家試験の合格率が90%近くあるので、合格率から考えると、難易度は高い方だと言えるのではないでしょうか。

 

背景として、呼吸療法認定士の試験を受ける方は、すでに看護師や臨床工学技士、理学療法士などそれぞれの資格を持っています。

 

皆さん仕事をしながら、普段の研鑽もしながら、勉強をして試験に挑むということが挙げられます。

 

例えば、学生であれば、国家試験に合格することにフォーカスして時間も労力も費やしていけますが、そうではないですよね。

 

出題範囲も、職種の分野を超えて多岐に渡るということもあります。

 

そういった点が、この試験の難易度に影響しているのかなと思います。

 

 

 

 

再受験のすすめ

この試験の合格者をみると、看護師、理学療法士作業療法士で80%以上を占めています。

 

そもそも、各職種とも呼吸療法認定士の資格が無くても仕事をしていける人達なのに、この資格を取る必要かあるのか?

 

もちろん、呼吸療法チームの一員として、バリバリされる方もいらっしゃいます。

 

でも正直、取得したとしても業務内容はほぼ変わらないという方も多いはず。

 

給料だって上がる訳でもないし、現時点で診療報酬においても加算などありません。

 

それでも、この資格は、毎年定員をオーバーするほど申込みがある人気です。

それは何故なんでしょうか。

 

やはり、どの専門職も、さらなる専門性を持って『自分に付加価値をつけたい』『目の前の患者さんに活かしたい』からではないでしょうか。

 

 

 

理学療法士の例でいえば、理学療法士は、今後、飽和する時代がもう目の前まで来ています。

 

そのうち振り落とされます。

 

一般の大企業でも、普通にリストラが行われている現実。

 

新型コロナウィルスの影響で、経済はさらに落ち込みます。

 

これは他人事ではありません。

 

経験年数だけあって、対外的に自分の価値を示すものがないとなると、どうでしょう?

 

経験年数が多くても少なくても、組織に入ってくる報酬は同じですよね。

 

一方、経験年数が多い人は人件費が高い傾向にあります。

 

人件費からみると、リストラの声がかかる候補になってしまうのかなと思います。

 

そう考えると、呼吸療法認定士の資格は、比較的付加価値の高い資格ではないでしょうか。

 

急性期から維持期まで、呼吸療法の必要とされる場面は多いですし、認知度も高いです。

 

 

 

もちろん、呼吸療法認定士だけが付加価値ではありません。他にもあります。

 

しかし、1度は目標持って目指した道です。

 

諦めたらもったいないと思いません?

 

失敗で終わらせるのか。成功への糧とするのか。

選べるのは自分だけです

 

ぜひやり切りませんか?私はやって良かったです。リベンジしましょう!

 

志ある仲間が増えることは嬉しいです。

 

 

  

 

再受験する際に行ったこと

まずは、試験内容を覚えている範囲で書き出したり、問題集にチェックを入れて復習しました。

 

次に、試験を受けてみて難しかったと思う要素は何でしょうか。

分析してみてください。

 

・数値を覚えきれていなかった

・計算ができなかった

・状況設定問題に対応できなかった

・そもそも勉強時間が足りなかった

 

など、感じたことがあったのではないでしょうか。

 

試験内容は公式テキストから出題するということになっていますが、試験に合格するためには、『問題に慣れておくこと』『対策をしておく事』は重要だと思います。

 

問題に慣れていくには、やはり問題集を活用することが必要だと思います。

 

私が使用した問題集などを紹介したページがあるので、ぜひ参考にしてみてください。

 

ptrehasho5.hatenablog.com

 

問題集を解いてみて間違えた問題が多かった分野は、特に公式テキストを読み込んで理解をすると良いと思います。

 

自分なりに絵を書いてみたり、どうしても覚えられない時は、語呂合わせを作って覚えたりしました。

 

後はアウトプットすることもかなりお勧めです。

『アウトプットするまでがインプット』

と言われる位、これをするだけで定着率が断然違います。

 

  

 

 

勉強時間の作り方

『勉強時間が足りなかった』と分析された方もいらっしゃると思います。

 

その原因は何でしょうか?

 

去年と同じ生活をしていると、同じ結果の繰り返しです。

 

どうやったら勉強時間を確保できるのか考えてみましょう。

 

時間は作るものです。

 

 

 

私の場合は、0歳の子供がいたので家に帰ってから積極的に育児に参加していました。 

 

子どもが寝静まるまではほぼ勉強が出来ませんでした。

 

でも、比較的、朝方はしっかり寝ていることが多かったので、朝早起きをして勉強する習慣にしました。

 

あと、通勤時間と職場での昼休みは勉強の時間に当てました。

 

そして、家族(妻さん)との目標共有です。

 

世の男性の皆さん、育児と言うものは想像以上に大変です。

 

生意気なことを言うようですが、自分にできる家事や育児は積極的にやっていきましょう。

 

例えば

・オムツ交換を一緒にする(寝返ったりして暴れたら大変なんだ)

・洗い物が終わって乾燥した食器を棚に戻す。

 そんなちょっとしたことでも助かるそうです。

誰でも出来ます。

 

少し脱線したかもしれませんが、そういった積み重ねが、信頼となり、自分の勉強時間の確保にもつながるわけです。

 

「1時間勉強させてー」って言っても、きっと反対されないです。

 

もちろん、勉強時間確保のためにするものではありませんが、家事や育児に参加せずに自分の時間だけよこせと言うようなことがないようにしよう!と言うことです。

 

  

 

最後に

再受験は、決して楽な道ではないかもしれません。

 

でも、ふつーーの、理学療法士の私がリベンジ出来たので、出来ますよきっと!!

 

これを読んで下さった方にとって、ひとつ前に進んでいけるきっかけになれれば、嬉しく思います。

 

※個人的思考のため、言葉足らずで不快な思いをされた方がいらっしゃれば、申し訳ありません。

 

 

 

 

 

新型コロナウィルスと人工心肺装置ECMO

新型コロナウィルスと人工心肺装置ECMO

新型コロナウィルス(COVID19)の猛威によって、人工呼吸器や人工心肺装置が注目を浴びています。

志村けんさんの報道で、ニュースでも取り上げられた人工心肺装置ECMO(読み方:エクモ)もそのひとつです。

人工呼吸器、特に人工心肺装置ECMOについて学んだので、簡単にですが知ってみましょう。

 

 

はじめに

人工呼吸器や人工心肺装置は、つけたら誰でも自動で呼吸させてくれる便利なロボットではありません。

 

それらを扱うには、医師看護師臨床工学技士などの専門家たちが、それぞれの患者さんの全身状態やあらゆる臨床判断のもと、管理、運用されてはじめてその力を発揮します。

 

量産すればするほど良いというような報道、伝え方があったようですが、それだけでは疑問に思います。

 

確かに数が足りなくなるより、余裕を持ってあったほうが良いと思います。

 

しかし、それらを正しく使える人材もそれだけ必要なのだという事も知っていて欲しいと思います。

 

(法律上、有資格者であれば扱えるが、単に資格があれば良いというものではない)

 

特にECMOを操れる人材なんて、日本で40人程度と言われており、まだ数えるほどしかいません。

 

とりわけ、医療機器メンテナンスのスペシャリストである、臨床工学技士の知識と技術が頼りになります。

 

そして、全身状態に合わせた適切な呼吸療法の重要性は言うまでもありません。

 

呼吸療法認定士もここで戦えるのではないでしょうか。

 

 

ECMOとは

ECMOは、人の肺(および心臓)の代わりをする機械です。

 

太い管を首や腿の付け根から入れて、体外に血液を引き出し、人工肺で呼吸の代役(酸素と二酸化炭素の交換)をして、体内に戻します。

 

*イメージ

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ECMO

イラスト書けない・・(涙)

  

つまり、新型コロナウィルスに伴う呼吸状態の悪化に対して、そのままでは致命的になってどうしようもないところを、代わりにECMOで呼吸の役割を担うことで、『呼吸状態が良くなるのを待つ』手段になります。

 

 

ECMOのリスク

 

人間の血液というのは、体外に出ると固まるという性質があります。

擦りむいてケガしたら、かさぶたとかになりますよね?あれです。

 

血液が固まってしまうと、機械がうまく機能しなくなってしまいます。

そのため、血液をサラサラにする薬剤を使って動かします。

 

そうすると、管を入れた所からの出血や、体の他の場所から出血(脳出血など)を起こすリスクが高まります。

 

そして、一度出血すると止まりにくいです。

 

また、管理には多くの人手が必要です。

 

熟練した技術と知識、判断も必要です。

 

ECMOを使用するという事は、これがないと呼吸が出来ないという、重症度の最も高い状態だと言えます。

 

なので、この治療は、生命を維持する最終手段であるのと同時にそれだけリスクも高いということです。

 

 

呼吸の重症化

 

重症化の主な原因のひとつに、呼吸状態が急速に悪くなることがあげられています。

 

それは数日、もしくは数時間で起こります。

 

ECMOの説明でもあげましたが、普段、我々人間は、肺で酸素を血液中に取り込んで、二酸化炭素を排出して生きています。

 

新型コロナウィルスでは、その働きが、重度に障害されるケースがあると報告されています。

 

これは、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)という病態といえます。

 

ARDSは、新型コロナウィルスに限らず起こりうることです。

 

例えば、インフルエンザだって、普通の肺炎だってなる場合があります。

 

このARDSというのは厄介なやつです。

 

なぜなら、今の医療では特効薬のような治療法が十分に確立してはいないからです。

 

さらに、新型コロナウィルスは普通の肺炎と違う怖い所があります。

 

普通の肺炎は、肺の一部が炎症を起こす事が多いです。

 

しかし、新型コロナウィルスの場合は、肺の複数箇所で炎症が起き、肺の働きを機能させなくしてしまうのです。

 

それも重症化しやすいポイントでしょう。

 

 

 

新型コロナウィルスの予防

 

この度の、新型コロナウィルス罹患者の全てが重症化するわけではないです。

 

しかし、高齢者や心血管疾患、呼吸器疾患の既往がある方などの重症化しやすいケースも報告されていますね。

 

あなたは感染しない?絶対はないです。

 

あなたが、またはあなたの大事な人が、罹患し重症化するなんてことになった時、本当に悔やまれます。

 

想像して下さい。

 

感染隔離され、面会は出来ず、愛する家族や仲間にも会えず、孤独な孤独な寂しい最後を迎える。

 

亡くなっても、家族に会えるのは火葬され骨になってから。

 

しなくていい後悔をしないために、しっかり予防しましょう。

 

三密を避ける

 

不要不急の外出を控える

 

手洗いうがいをする

 

顔(口、鼻、目)を触らない

 

もう他人事ではないのです。

 

呼吸療法認定士 年間スケジュール

◆年間スケジュール◆

試験までの計画を立てるには、スケジュールを把握しておきたいですよね?

月ごとのおおまかなイメージがしやすいようにまとめているので、参考にして下さい。

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1月

まだ対象の学会や講習会の開催がある時期です。

スタートするのに全く遅くありません

すぐに計画して今年の合格を目指して行動していきましょう。 

資格を取って、自分に付加価値をつけるチャンスです。 

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 2月

認定講習会・認定試験の概要が、認定委員会からホームページで告知されます。

事務局ホームページの確認を定期的にしておきましょう。

 

講習会受講条件の12.5点はもう取得出来ていますか?

今年の受験を目指すなら、早めにポイントの取得をしましょう。来年以降に受けるにしても、ポイントは過去5年間有効なので、受けれる時に即行動しましょう!

 

 

3月

講習会の受講・受験の申請書類が配布される時期です。

実施要領をしっかり確認して、準備しておいてください。

配布書類は事務局ホームページで記入しダウンロードします。

 

※ダウンロード書類

・認定審査申請書

・実務経験証明書

・封筒貼り付け用紙

 

※申請書類以外に必要となる書類 *いずれもA4サイズ

・自分の医療資格を証明する免許証コピー

・取得点数12.5点以上を証明する受講証・修了証などのコピー

・顔写真付き本人確認書類 (運転免許証、パスポートなど)のコピー

 *** *** ***

+再受講希望者や過去に手続きをして講習会に欠席した方は別途

・審査結果通知書、受講票、受験票、写真票、試験結果通知書のいずれかのコピー

 

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4月

申し込み受付開始です。

ある意味、第一関門と言われている申し込みは、特定記録郵便での受付です。

定員に達すると、たとえ受付期間内であっても締め切られます

油断の無いようにしましょう。

 

特定記録郵便での郵送について

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5月

申請書類が受理されて、審査にも問題が無ければ、5月下旬に審査結果通知とともに、認定講習会の受講申し込み要領書類が送付されてきます。

要領に基づき、次は講習会受講の手続きを行います。

手続きが終わると少しホッとしますが、気づけば試験まであと半年です。

 

ここからスイッチが入って勉強する方も多いと思います。

長期的な学習計画を立てて、コツコツ進めて行きましょう。

ご家族のいる方は、協力体制も整えていきましょう。

 

*問題集やテキストで迷われている方は参考にしてください。↓ 

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6月

講習会の受講申し込みは、6月中旬に締め切りです。

申し込みの提出、忘れてないですか?

 

なお、呼吸療法に関連する学会や講習会などへの参加もオススメです。

試験勉強で机上の学習だけでなく、こういった場に参加して刺激を受けるのも良いかもしれません。

 

*勉強方法について(Coming Soon)

 

 

7月

どうしても中だるみの時期を迎えます。が!!!

モチベーションさんは、待ち合わせ場所で待っていても、いつまでもやって来ません。

コツコツとすべき事をやるだけです。「継続」が大事です

 

来月は講習会です。

会場の場所、時間などしっかり確認しておきましょう。

(私を含め)地方組は、交通手段やお宿の手配はお早めに。

会場近くの安価なお宿は、比較的早く埋まってしまいます。

 

 

*交通手段、ホテル、会場周辺情報について(Coming Soon)

 

 

8月

8月上旬にテキストが届きます。

そして、中旬から下旬にかけて、2日間の認定講習会が実施されます。

 

受講した感想は

「講義のスピードが速い」

「講習内容が広い、深い」

「専門用語バンバン使う」

「みんなめっちゃ賢くみえる」・・・

ある程度の予習があったほうが良いです。

遅れをとらないように。

 

会場で、受験申し込み要領が配布されます。

 

 

※認定講習会について(Coming Soon)

 

 

9月

講習会の講義内容に打ちのめされ、危機感を持つと思います。

私もそのひとり、9月からちゃんと勉強を始めました。

家庭を両立しながらの方は、時間の確保が難しいと思うので、出来るだけ早い勉強開始を推奨します。

ここからの頑張りが、試験での自信につながります。頑張りましょう。

 

9月中旬には、受験申し込み手続き締め切りになります。

早めのに手続きを済ませて、勉強に集中しましょう。

 

 

10月

いよいよ迫ってきました、来月は試験です。

そろそろ追い込みの時期です。

・苦手分野を重点的に見直す

・基礎知識、数値などを完璧にする

・予想問題の数をこなして問題に慣れる

など、自分なりの総まとめを行いましょう。

 

 

11月

上旬には受験票が手元に届きます。

さあラストスパート

中旬から下旬には試験です。

しっかり体調も整えて挑みましょう。

 

 

※認定試験や試験前後の過ごし方について(Coming Soon)

 

 

12月

試験が終わり

・試験の振り返りをしたり

・我慢してきたやりたい事をやったり

一旦ゆっくりしても良いのではないでしょうか。

 

合否通知は年末に届きます。

私は、ちょうどクリスマスプレゼントとして通知を受け取りました!

 

見事合格された方は、翌年1月に認定登録をして、3月には認定証が届きます。

堂々と認定士として活躍していきましょう。

 

 

 

 *注意

2020年現在、過去のスケジュールを基にまとめているので、最新情報のチェックを忘れずにしてください。

【特に今年(2020年度)は、新型コロナウィルスの影響で、最悪の場合中止なども考えられますので確認しましょう】

 

認定委員会ホームページ*

https://www.jaame.or.jp/koushuu/kokyu/k_index.html