呼吸療法認定士合格のすゝめ

3学会合同呼吸療法認定士を受ける人のための情報サイト

COPDではなぜ痩せている人が多いのか!?

COPD慢性閉塞性肺疾患は、痩せ型の人が多いですが、その原因は何でしょう?

 

それは、消費エネルギー摂取エネルギーが関係しています

  

 

 

 

 痩せる原因

 

COPDでは

『消費エネルギーの増加』

『摂取エネルギーの減少』

という、負のエネルギーバランス

が起こってしまっているのです。

 

摂取エネルギーよりも消費エネルギーが多いと、エネルギーバランスが崩れて痩せてしまいますね。

 

 

 

消費エネルギーの増加

COPDでは、1日に必要な安静時エネルギー量が

健康同年代と比較して1.2〜1.5倍であると言われています。

 

閉塞性換気障害による気流制限や肺の過膨張などが原因で、呼吸がしにくい状態です。

そのため、呼吸筋を多く使い、努力性の呼吸をします。

すると、たくさんのエネルギーが必要になり消費されてしまいます。

 

さらに、肺だけでなく、全身に炎症(全身性炎症)が起こります。

身体の中で熱が発生しエネルギーを消耗します。

所見としては、炎症性サイトカインや、CRPが上昇します。

 

つまり、代謝が亢進状態にあるのです。

 

 

 

摂取エネルギーの減少

COPDでは、必要なエネルギー量を摂取出来るほどの食事が取りにくくなります。

 

その原因として

抑うつや不安感

・炎症による胃腸の機能低下

腹部膨満が横隔膜の動きを制限する

・咀嚼や嚥下による呼吸のリズムの乱れ

・食事動作での上肢運動による呼吸困難感

・肺の膨張で横隔膜が押し下げられ胃を圧迫し、満腹感を感じやすい

 

 などがあります。

 

 

 つまり・・・

『必要とされるエネルギー量は健康な人よりも多いのに、十分なエネルギー(栄養)が取れない』

これがCOPDの人が痩せてしまう理由です。

 

 

 

筋肉の量が減る

体重が減る(痩せる)と

・生命予後が悪い

・入院のリスクが高まる

COPDが増悪しやすくなる

 

 

と言う報告があります。

 

全身性炎症で上昇した、炎症性サイトカインというやつは

異化亢進作用を示し、脂肪や筋肉の減少を引き起こします。

 

また、栄養障害によって脂肪が減少するだけでなく

筋肉量が減少することも考えられます。

 

COPDの人は、呼吸困難感から身体活動が制限されることが多々あります。

さらに、摂取エネルギー量の減少による呼吸筋や全身の筋肉量の減少が加わると、さらに動くことが困難になります。

 

動かない

食欲低下

さらに動かない

 

という悪循環に陥る可能性が高いです。

転倒や寝たきりにも繋がります。

 

そのため、COPDの症状が軽症のうちから、十分な栄養を摂取し、同時に適切な運動をすることで、筋肉の衰えを防ぐことが大切です。

 

 

 

痩せの対処・予防

COPDの症状が軽症のうちから、十分な栄養を摂取し、同時に適切な運動をすることで、筋肉の衰えを防ぐことが大切です。

 

代謝の亢進状態を引き起こしている、呼吸筋のエネルギー消費量の増大や、全身性炎症は、早期改善がなかなか難しい印象です。

※「有酸素運動の長期的効果として、炎症値低下、身体活動量の多い人はそうでない人に比べ炎症値は低かった」という報告もあり、運動療法で全身性炎症を改善できる可能性もあります。

 

したがって、

摂取エネルギー量の低下に対しての

呼吸方法の指導

・栄養管理栄養療法

が重要になってきます。

 

栄養管理呼吸リハビリテーション

COPD進行の初期から取り組むべき管理課題です。

 

栄養障害、骨格筋機能障害、全身性炎症は密接に関連しています。

 

なので、栄養治療をすすめるにあたって

運動療法との併用

・全身性炎症の制御

という観点からもとらえる必要があると言えます。

 

痩せる原因を知ったうえで、

・食事が十分に摂取できているか?

・安静時、食事中の呼吸困難感はどうか?

運動療法における運動負荷量は適切かどうか?

などを常に評価、見直す事が大切です。

 

栄養療法や呼吸方法の指導は、比較的すぐに取り組めます。

即時的に効果が出せるケースもあるので、しっかり評価しないといけません。

 

「ご飯が食べれない原因は何なのか」

それをひもとくような栄養学的介入は

医師、栄養士、看護師、PT、OT、STなどのチームで

あたっていく必要があります。

 

こんな呼吸療法チームを、目指したいですね。