呼吸療法認定士 試験対策 呼吸リハビリテーション各論 呼吸困難
呼吸療法認定士の試験対策
今回は、呼吸リハビリテーション各論の呼吸困難の項目についてです。
問題
次のうち呼吸困難感の直接評価法はどれか?
①Visual Analogue Scale (VAS)
②Baseline Dyspnea Index (BDI)
③Fletcher Hugh-Jones (FHJ)分類
④Medical Research Council (MRC)息切れスケール
⑤修正Borgスケール
すっと答えられたでしょうか?
ではみていきましょう。
呼吸困難は内的感覚で、定量化が難しいですが、いくつか客観評価するための方法があります。
呼吸困難の評価には
医療スタッフが評価する間接的評価法
患者が呼吸困難の程度を評価する直接的評価法
があります。
間接的評価法
代表的なものとして
・Fletcher Hugh-Jones (FHJ)分類
・Medical Research Council (MRC)息切れスケール
・mMRC(修正MRC)息切れスケール
そのほかにも
・Oxygen Cost Diagram (OCD)
・Baseline Dyspnea Index (BDI)
・Transition Dyspnea Index (TDI)
などがあります。
試験では、概ねmMRC分類とFHJ分類について問われることが多いようです。
例題
COPDの患者で、平坦な道を100m、あるいは数分歩くと息切れのために立ち止まらないといけないようになった。この患者のmMRC息切れスケールのグレードは何か?
正解は
グレード3です
・mMRC(修正MRC)分類
米呼吸器学会とヨーロッパの呼吸器学会が2004年に出したもの。
これを、国際的に標準として用いられています。
0 激しい運動をした時だけ息切れがある
1 平坦な道を早足で歩く、あるいは緩やかな上り坂を歩くときに息切れがある
2 同年齢の人より平坦な道を歩くのが遅い。
平坦な道を自分のペースで歩いている時、息切れのために立ち止まることがる
3 平坦な道を100m、あるいは数分歩くと息切れのために立ち止まる
4 息切れがひどく家から出られない。衣服の着替えをする時にも息切れがある
・FHJ分類
以前はよく使われていたものだが、今はほとんど用いられていない。
Ⅲ-Ⅳで差がありすぎるということもあってほとんど使わなくなったそうです。
Ⅰ 同年齢の健常人と同様の労作可能。歩行、階段昇降も健常人なみに可能。
Ⅱ 同年齢の健常人と同様に歩行可能だが、坂、階段は健常人なみに出来ない。
Ⅲ 平地でも健常人なみに歩けないが
自分のペースでなら1マイル(1.6km)以上歩ける。
Ⅳ 休みながらでなければ、50ヤード(45m)以上歩けない。
Ⅴ 会話、衣服の着脱にも息切れがする。息切れで外出が出来ない。
※時々ある間違い
Ⅲ 1kmになっている
Ⅳ 50mになっている
直接的評価法
・Borgスケール
・修正Borgスケール
・Visual Analogue Scale (VAS)
が代表的です。
・修正Borgスケール
運動したときのキツさを数字と簡単な言葉で表現します。
0~10までの数値で表し、0に近い方が楽な感じになります。
0 感じない
0.5 非常に弱い
1 とても弱い
2 弱い
3 中くらい
4 やや強い
5 強い
6
7 とても強い
8
9 非常に強い
10 最大限に強い
・Visual Analogue Scale (VAS)
横に引かれた10㎝の直線の線上に、痛みの程度をチェックします。
両方とも再現性が高いです。
さて、ここまで読んでいただけたということは
最初に出した問題が解けるようになっていると思います。
正解は
①と⑤です。
まとめ
・代表的スケールに何があるか覚えておく
・スケールが間接評価法と直接評価法に分けられる
・mMRC分類とFHJ分類のグレードの内容を覚えておく