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新型コロナウィルスと人工心肺装置ECMO

新型コロナウィルスと人工心肺装置ECMO

新型コロナウィルス(COVID19)の猛威によって、人工呼吸器や人工心肺装置が注目を浴びています。

志村けんさんの報道で、ニュースでも取り上げられた人工心肺装置ECMO(読み方:エクモ)もそのひとつです。

人工呼吸器、特に人工心肺装置ECMOについて学んだので、簡単にですが知ってみましょう。

 

 

はじめに

人工呼吸器や人工心肺装置は、つけたら誰でも自動で呼吸させてくれる便利なロボットではありません。

 

それらを扱うには、医師看護師臨床工学技士などの専門家たちが、それぞれの患者さんの全身状態やあらゆる臨床判断のもと、管理、運用されてはじめてその力を発揮します。

 

量産すればするほど良いというような報道、伝え方があったようですが、それだけでは疑問に思います。

 

確かに数が足りなくなるより、余裕を持ってあったほうが良いと思います。

 

しかし、それらを正しく使える人材もそれだけ必要なのだという事も知っていて欲しいと思います。

 

(法律上、有資格者であれば扱えるが、単に資格があれば良いというものではない)

 

特にECMOを操れる人材なんて、日本で40人程度と言われており、まだ数えるほどしかいません。

 

とりわけ、医療機器メンテナンスのスペシャリストである、臨床工学技士の知識と技術が頼りになります。

 

そして、全身状態に合わせた適切な呼吸療法の重要性は言うまでもありません。

 

呼吸療法認定士もここで戦えるのではないでしょうか。

 

 

ECMOとは

ECMOは、人の肺(および心臓)の代わりをする機械です。

 

太い管を首や腿の付け根から入れて、体外に血液を引き出し、人工肺で呼吸の代役(酸素と二酸化炭素の交換)をして、体内に戻します。

 

*イメージ

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ECMO

イラスト書けない・・(涙)

  

つまり、新型コロナウィルスに伴う呼吸状態の悪化に対して、そのままでは致命的になってどうしようもないところを、代わりにECMOで呼吸の役割を担うことで、『呼吸状態が良くなるのを待つ』手段になります。

 

 

ECMOのリスク

 

人間の血液というのは、体外に出ると固まるという性質があります。

擦りむいてケガしたら、かさぶたとかになりますよね?あれです。

 

血液が固まってしまうと、機械がうまく機能しなくなってしまいます。

そのため、血液をサラサラにする薬剤を使って動かします。

 

そうすると、管を入れた所からの出血や、体の他の場所から出血(脳出血など)を起こすリスクが高まります。

 

そして、一度出血すると止まりにくいです。

 

また、管理には多くの人手が必要です。

 

熟練した技術と知識、判断も必要です。

 

ECMOを使用するという事は、これがないと呼吸が出来ないという、重症度の最も高い状態だと言えます。

 

なので、この治療は、生命を維持する最終手段であるのと同時にそれだけリスクも高いということです。

 

 

呼吸の重症化

 

重症化の主な原因のひとつに、呼吸状態が急速に悪くなることがあげられています。

 

それは数日、もしくは数時間で起こります。

 

ECMOの説明でもあげましたが、普段、我々人間は、肺で酸素を血液中に取り込んで、二酸化炭素を排出して生きています。

 

新型コロナウィルスでは、その働きが、重度に障害されるケースがあると報告されています。

 

これは、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)という病態といえます。

 

ARDSは、新型コロナウィルスに限らず起こりうることです。

 

例えば、インフルエンザだって、普通の肺炎だってなる場合があります。

 

このARDSというのは厄介なやつです。

 

なぜなら、今の医療では特効薬のような治療法が十分に確立してはいないからです。

 

さらに、新型コロナウィルスは普通の肺炎と違う怖い所があります。

 

普通の肺炎は、肺の一部が炎症を起こす事が多いです。

 

しかし、新型コロナウィルスの場合は、肺の複数箇所で炎症が起き、肺の働きを機能させなくしてしまうのです。

 

それも重症化しやすいポイントでしょう。

 

 

 

新型コロナウィルスの予防

 

この度の、新型コロナウィルス罹患者の全てが重症化するわけではないです。

 

しかし、高齢者や心血管疾患、呼吸器疾患の既往がある方などの重症化しやすいケースも報告されていますね。

 

あなたは感染しない?絶対はないです。

 

あなたが、またはあなたの大事な人が、罹患し重症化するなんてことになった時、本当に悔やまれます。

 

想像して下さい。

 

感染隔離され、面会は出来ず、愛する家族や仲間にも会えず、孤独な孤独な寂しい最後を迎える。

 

亡くなっても、家族に会えるのは火葬され骨になってから。

 

しなくていい後悔をしないために、しっかり予防しましょう。

 

三密を避ける

 

不要不急の外出を控える

 

手洗いうがいをする

 

顔(口、鼻、目)を触らない

 

もう他人事ではないのです。