呼吸療法認定士 試験対策 呼吸リハビリテーション 総論①
呼吸リハビリテーション総論の分野について、認定講習会で講師の方が話していた内容と、過去の試験問題から、問われそうな所をピックアップしてまとめています。
この記事を見れば、「呼吸リハビリテーション総論」の試験対策が出来ます。
ここで抑えておきたいのは
"科学的な根拠に基づいて、他職種で、包括的に行う"という事です。
ま、今の医療全部そうですよね。
呼吸リハビリテーションに限ったものではないです。
- 呼吸リハビリテーションの定義
- 呼吸リハビリテーションの目的
- 実施のための要件
- 治療の進め方
- 患者選択の基準
- 呼吸リハビリテーションの評価項目
- 呼吸リハビリテーションの教育・指導
- 呼吸リハビリテーションの運動療法
- プログラム構成
呼吸リハビリテーションの定義
「呼吸リハビリテーションとは、呼吸器の病気によって生じた障害を持つ患者に対して、可能な限り機能を回復、あるいは維持させ、これにより、患者自身が自立できるように継続的に支援していくための医療である。」
リハビリテーションを「医療」であると定義している事は注目すべき点です。
そして、継続的に支援というところが重要なキーポイントになります。
アメリカとヨーロッパの呼吸器学会が2013年に提唱した新しい呼吸リハビリテーションの定義があります。
それによると、
「まずは徹底的な患者さんの評価をする。そして包括的な介入をする」
どういうことかと言うと、運動、教育、患者の行動を変えるということなんですね。
そうすることで、身体的、心理的状態を改善して、健康増進行動への長期的な遵守を推進するのだと。
統合的ケアと言われますが
継続支援が大切ということです。
長期の監視型運動療法
維持期のプログラム
が重要と言われています。
呼吸リハビリテーションの目的
呼吸器疾患による障害を総合的にケアすることによってQOLの向上を図っていくことが、呼吸リハビリテーションが到達すべきゴールとなります。
これまでは、運動耐容能を上げる事が目標とされてきましたが、今は身体活動レベルをいかに維持するのかが重要とされています。
実施のための要件
・チーム医療として行う
・科学的根拠に基づいて実施
・多様なサービスを継続的に提供
・患者とその家族に対し継続して実施
・患者の意欲を尊重しICに基づいて行う
・地域において医療連携を図りながら行う
・QOLの向上を重視し、地域での自立を促進
・全身的な機能障害と位置づけ全人的な治療として展開
・医療費に見合った効果を常に意識する(医療費を抑える)
・包括的プログラムで、セルフマネジメント(自己管理能力)を強化
・評価に基づいてゴールを設定し、個々に合わせて継続的に評価実施
治療の進め方
*初期評価
↓
*個別プログラムの作成と実践
・目標設定
・リハビリテーション処方
・リハビリテーション実施計画書の作成
・アクションプランの作成
↓
・コンディショニング
・運動療法
全身持久力トレーニング
筋力トレーニング
・ADLトレーニング
・セルフマネジメント教育
・アクションプランの実践
↓
*行動変容への支援
↓
*再評価
↓
*プランをたて直す
患者選択の基準
・症状のある慢性呼吸器疾患
・呼吸器疾患による機能的制限がある
・標準的治療により容態が安定している
・患者自身に積極的な意志(やる気)がある
・年齢制限や肺機能、動脈血ガス分析による基準を定めない
・呼吸リハビリテーションの施行を妨げる因子や不安定な合併症がない
年齢や重症度は関係なく、軽症例から重症例まで全てが適用になるとしています。
中でも一番効果が上がると言われているのは、GOLDの重症度の分類で中等症です。
すなわち、1秒率が70%未満の人で、1秒量の予測値に対する割合(FEV1)が50%位上80%未満の人ですね。
呼吸リハビリテーションの評価項目
【必須の評価】
・握力
・胸部X線
・スパイロメトリー
・フィジカルアセスメント
・呼吸困難(安静時.労作時)
・経皮的酸素飽和度(SpO2)
・フィールド歩行試験(6分間歩行試験、シャトルウォーキング試験)
【行うことが望ましい評価】
・上肢筋力
・下肢筋力
・ADL(FIM、BI)
・栄養評価(BMI)
・健康関連QOL評価
(一般的/SF36、疾患特異的/CRQ、CAT、SGRQ)
・日常生活動作におけるSpO2モニタリング
【可能であれば行う評価】
・呼吸筋力
・動脈血ガス分析
・心臓超音波検査
・心理社会的評価(鬱、不安など)
呼吸リハビリテーションの教育・指導
・禁煙指導
・心理面の援助
・感染予防の指導
・薬物療法の指導
・疾患に関する指導
・社会福祉サービスの利用
・患者の生活に合わせた動作の工夫
・自己管理、アクションプランの実践
・在宅酸素療法や在宅人工呼吸療法の指導
呼吸リハビリテーションの運動療法
①コンディショニング(呼吸しやすい状態にする。負荷かかっていない)
・排痰
・呼吸体操
・呼吸トレーニング
・リラクセーション
・胸郭可動域の拡張
・ストレッチングによる柔軟性トレーニング
②自立を促すADLトレーニング(重症の人)
・離床
・座位
・立位
・歩行
・階段昇降
③運動療法(負荷をかける)
・全身持久力トレーニング
・呼吸筋トレーニング
+同時に行うべきこととして
・薬物療法(気管支拡張薬)
・酸素療法(場合によってはNPPV)
・栄養療法
・心理社会的サポート(鬱、不安)
・教育
⇒運動の効率を良くするために行います。
プログラム構成
疾患の重症度によってプログラムが違います。
軽症な症例は最初から強い負荷をかけれますが、重症な症例に関しては最初から強い負荷はかけれません。
重症な方は、まずはコンディショニングとADLトレーニング。これが重要になってきます。
重症度によって、どこに重きを置くのかを考えるということになります。
ブログプログラムが進んでいくに従って、全身持久力や筋力トレーニング、高負荷な運動療法の割合が増えるということですね。